村松検事は屍体を見上げた

「おお血や、血や」「ナニ血だって? 縊死《いし》に出血は変だネ」 と村松検事は屍体を見上げた。そのとき彼は愕きの声をあげた。「うむ、頭だ頭だ。後頭部に穴が明いていて、そこから出血しているようだ」「なんですって」 人々は検事の指《ゆびさ》す方を見た。なるほど後頭部に傷口が見える。「オイ誰か...

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不思議なる惨劇《さんげき》

   不思議なる惨劇《さんげき》

 死と生とを決める刻限は、既に過ぎた。 死の宣告状をうけとったこの邸の主人玉屋総一郎は、自ら引籠った書斎のなかで、一体なにをしているのであろうか。その安否を気づかう警官隊が、入口の扉を破れるように叩いて総一郎を呼んでいるのに、彼は死んだのか生きているのか、中から...

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東京弁のその警官

 署長は居間の前に、警官が一人立っているのを見て、ホッと安心した。「オイ異状はないか。ずっとお前は、ここに頑張っていたんやろな」「はア、さっきガチャンのときに、ちょっと動きましたが、すぐ引返して来て、此処に立ち続けて居ります」 と東京弁のその警官が応えた。「なんや、やっぱり動いたのか」「は...

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