犯人の人数が多くて

 この踏台に代るようなものが室内にあるかと見廻したが、低い椅子の外に何にも見当らなかった。しかも今台につかっている丸卓子のほかはなんにも動かさなかったというのだから、ますます不思議である。 では犯人の人数が多くて、軽業《かるわざ》でもやるように肩車をして、総一郎を吊りあげたろうかと考えるのに、これ...

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答に出た「蠅男」

「ええ、なんですって。この犯行にどの位時間が懸るというのですか。うむ、それは頗《すこぶ》る優秀なる質問ですね。――」 帆村は腕を組んで、犯行の時間を推定するより前に、なぜ糸子が、このような突然の質問を出したかについて訝《いぶか》った。

   答に出た「蠅男」

「犯行に費した時間はというと、そ...

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冷い父親の下半身

 糸子は帆村の手をふりきって、冷い父親の下半身にしっかり縋《すが》りつき、そしてまた激しく嗚咽《おえつ》をはじめたのであった。鬼神のように強い警官たちではあったけれど、この美しい令嬢が先に母を喪い今こうして優しかった父を奪われて悲歎やる方なき可憐な姿を見ては、同情の心うごき、目を外らさない者はなかっ...

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