平助は素知らぬ顔をして

 その様子がただならないようにみえたので、平助は素知らぬ顔をして再び眠ってしまったが、その夜半にかの盲人がそっと這い起きて来て、自分の寝ている上に乗りかかって、かの針のようなものを左の眼に突き透すとみて、夢が醒めた。そのうなされる声に座頭も眼をさまして、探りながらに介抱してくれた。平助はその夢につい...

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往来のはげしい街道

 往来のはげしい街道であるから、渡し船は幾艘も出る。しかし他の船頭どもは夕方から皆めいめいの家へ引揚げてしまって、この小屋に寝泊りをしているのは平助じいさんだけであるので、ある時彼は座頭に言った。「お前さんはどこから来るのか知らないが、眼の不自由な身で毎日往ったり来たりするのは難儀だろう。いっそ、...

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奥州や日光の方面から来る旅びと

 奥州や日光の方面から来る旅びとはここから渡し船に乗ってゆく。江戸の方面から来る旅びとは栗橋から渡し船に乗り込んでここに着く。その乗り降りの旅人を座頭は一々に詮議しているのである。「もし、このなかに野村彦右衛門というお人はおいでなされぬか。」 野村彦右衛門――侍らしい苗字であるが、そういう人はか...

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